靴の跡わたしはここに居ない こあめ
自分の靴跡を辿ると自分の過去に戻るような気がします。
靴跡追えば夜が明ける ゆ
靴の跡流れ素足はここにある こあめ
小さい頃の泥遊びは楽しかったこと
田の泥の滑らかなこと
濡れた足洗うとしわになる ゆ
冬の轍に夏の草 こあめ
田舎なのでしょうか、轍がある道とは、今は夏の緑も枯れてうつろです。
轍の水に落ち葉浮かぶ ゆ
サイレン赤信号を通り過ぎてった こあめ
救急車両は赤信号も治外法権ですかね。
サイレンがドップラーと過ぎてゆく ゆ
塩花ひとのいたところ こあめ
清めた場所には人の霊が去らないのでしょうか。
穢れた心は酒で漬ける ゆ
塀の低い庭からさくらんぼう こあめ
他所の庭からさくらんぼが覗いているのでしょうか。
濡れた道に散るのは千両の実 ゆ
抜けた羽根で包まれおやすみ こあめ
鳥は己の羽根をむしって巣に敷いて卵を孵しますね。
お休みの言葉温かく寝る ゆ
押して潰して花を遺す頁 こあめ
本棚から出す時に、押し花や草が出てくることがあります。
本を棺桶にして四葉閉じ込める ゆ